「自然破壊」とは何か?生態学の視点から考察して見る【第8章】
【遺伝子多様性の危機】
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人間活動による開発や環境汚染によって集団が縮小される
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このhabitat(生息域)の破壊や分断、独立化が遺伝的多様性の減少へ大きな影響を与える
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近親交配により劣勢有害遺伝子が発生し、連鎖する
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extinction vortex(絶滅の渦)
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【地域間移動(国内外来生物)】
国内外来生物(いわゆる、人為的に本来生息する地域から繁殖や生息を目的に移動させられた生物)による生物多様性を錯乱させている。この問題の難しいところはゲンジボタルように、必ずしも悪意のある行為が原因では無いという事だ。しかし、時に無知無自覚のうちに ‘良かれと思ってとった行動’ が地域固有の生物多様性を撹乱させ、一度壊れた遺伝子汚染は、二度と元には戻せないという事である。
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「自然破壊」とは何か?生態学の視点から考察して見る【第7章】
では、どうしてこのような事態が起こっているのか。
日本政府が策定した「生物多様性国家戦略」を基に考察してみます。
https://www.biodic.go.jp/biodiversity/about/initiatives/index.html
- 人間活動と開発
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1954〜1973年の19年間に日本の実質経済成長率は10%を超え、飛躍的に経済規模が拡大した「高度経済成長期」によって我々の国は豊かになり、生活がますます便利になりました。しかし、その一方で大胆な都市化やインフラ整備は自然に大きな爪痕を残す結果となりました。前述の記事に掲載した通り、我々現代人が人間としての生活をおくる上で、これらの仕組みについては致し方ない部分はあります。しかし、問題はその「バランス」です。この地球には、様々な生命体が共存しており限られた資源のなかでそのバランスを保って共存する必要があります。我々、人類はそのバランスを崩壊させ大きく変化させてしまったことが何よりの問題です。
2.自然に対する働きかけの縮小
<a href="https://www.photo-ac.com/profile/728617">ALP(福岡県朝倉市)</a>さんによる<a href="https://www.photo-ac.com/">写真AC</a>からの写真
1.の事象と対照的な問題も大量絶滅に起因している。それは、人類が高度居住地域に偏って生活するようになり、半自然地域を減少させてしまった事である。つまり、これまで人による農耕や畜産によって維持されてきた地域に生息していた生物種が、これらの活動の縮小に伴い急減しているということである。
その、大きな要因と言われているにが1960年頃に起こったエネルギー革命である。これにより、人々の燃料は石炭から石油にシフトし、火入れや茅を集めてることが激減し、これまでその恩恵を受けていた半自然域に生息する昆虫や植物が消滅した。
3.外来生物と新規化学物質
<a href="https://www.photo-ac.com/profile/1147610">HiC</a>さんによる<a href="https://www.photo-ac.com/">写真AC</a>からの写真
写真はオオクチバスである。これらの外来種(特に魚食性の強い種)の急増した事に起因する在来種の激減が問題視されている。また、日本在来種と外来種の交雑による遺伝的錯乱(遺伝子汚染)も大きな問題である。
4.地球環境の変化
<a href="https://www.photo-ac.com/profile/824623">dronepc55</a>さんによる<a href="https://www.photo-ac.com/">写真AC</a>からの写真
最後に地球環境の大きな変化が挙げられる。第3次生物多様性国家戦略(2007年)から追加された「地球温暖化」が大きな絶滅リスクの要因とされている。average1.5〜2.5℃の気温上昇により、動植物20〜30%の絶滅リスクが比例して上昇すると予想されている。また、空気中のCO2濃度上昇は、海洋を酸性化させ珊瑚や貝類に大きな悪影響を与えるとされている。
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「自然破壊」とは何か?生態学の視点から考察して見る【第6章】
日本における淡水魚の危機
私のブログをご覧いただいている方の中には、アクアリウムに関わるアクアリストや魚(特に淡水魚)に興味をお持ちの方が多いと思います。それは、私自身が淡水魚(日淡)に非常に興味を持っており、記事の内容が日淡を意識させる内容になっているに他なら無いのですが…実はその日本の淡水魚が危機的状況下にあります。
前回の記事で紹介させて頂いたICUNレッドリスト2019で注目されている大きなトピックの一つが「日本の淡水魚の絶滅危機(いわゆる日淡危機)です。
その大きな理由として、レッドリストにおいてTarget となる種に(Mammals)哺乳類や(Birds)鳥類が、既にほとんど調査対象として確認されているのに対して、2013年頃まで魚類は未分類や調査対象外となる事が多かったため、その危機が把握されていませんでした。
しかし、近年の革新的な技術進歩や調査規模の拡大によって、今までは未確認であった内容も確認されるようになりました。その結果、新たに発見された日本に絶滅危惧種がなんと33種(2019年)確認され、そのほとんどが淡水魚だったのです。
この原因については、次の記事内でじっくり考察する予定ですが、ICUN日本支部のみならず世界自然保護基金/WWF(World Wide Found for Nature)などの国際的機関に対しても大きな危機感を煽りました。
なぜなら、生物多様性や食物連鎖のなかで共存する我々にとってこれは一国の問題ではなく、世界(地球上全ての生植物)に関わる事態であるからです。
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「自然破壊」とは何か?生態学の視点から考察して見る【第5章】
<a href="https://www.photo-ac.com/profile/1976138">Dorakima69</a>さんによる<a href="https://www.photo-ac.com/">写真AC</a>からの写真
私が暮らしているこの地球が誕生して推測46億年とされ、生物の歴史は約38億年と言われている。
その中でも、地質時代におこった大量絶滅を下記のとおりにまとめます。
【ビッグファイブ】
・オルドギブス紀末(O-S境界)生物種の85%が絶滅/4億4千年前
・デボン紀後期(F-F境界)生物種82%が絶滅/3億7千年前
・ペルム紀末(P-T境界)海洋生生物96%、全生物種95%が絶滅/2億5千年前
・三畳紀末(T-J境界)生物種76%が絶滅/2億年前
・中世代白亜紀(K-Pg境界)ほぼ全ての恐竜、全生物種70%が絶滅/6500万年前
現在、人口の急増と人間活動が原因により6度目の大量絶滅が起こりうる危機を迎えているのです。
その証拠が、ICUN(世界自然保護連合)の調査結果に現れています。
IUCN 2019. The IUCN Red List of Threatened Species. Version 2019-3. http://www.iucnredlist.org. Downloaded on 10 December 2019.
なんと、28,000種以上が絶滅危惧種として危機に直面しています。
そして2019年の調査では、特にメキシコと日本に生息する淡水魚の危機が深刻となりました。
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「自然破壊」とは何か?生態学の視点から考察して見る【第4章】
【Charles Robert Darwin(1859年)】
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『進化論』で知られるチャールズ・ダーゥインはこう説えた。
〜とおくはなれた植物と動物が複雑な関係の織物で結ばれている〜『種の起源』より
1980年代に生物多様性(biodiversity)という用語が生まれる
これを生物多様性条約の定義に則り解釈すると、下記の3つの階層に分けることができる。
これらの生態系はそれぞれの共生関係の上に成り立っていると言える。
→そのため、一つの種の絶滅はそれに関連する全ての生態系に影響を与える。
∴故に、近年のさまざまなな生態系の根絶や生物の絶滅は、同じ生態系のなかで共存する我々「人類」にとっても無関係とは言えない。
「自然破壊」とは何か?生態学の視点から考察して見る【第3章】
加速する都市化
1700年〜20世記(300年)にかけて、地球上の野生または半自然地域が高度居住地域へと大幅に人為的にシフトした。
加えて、人口の増加に伴い「農村地区」「農耕地区」「放牧地区」の割合が増加し、その影響で半自然地域の消滅が促進した。
ー原生自然保護のパラドックスー
このことから、これまで着目されてきた原生自然保護(アマゾン熱帯雨林等)から半自然保持に危機感がシフトしている。
半自然保護を私が強調する理由の一つに、原生自然保護に比べて取り組み易いという点が挙げられる。なぜなら、公園に木や花などの植物を植えることさえも、広義における半自然保護に繋がる。後に取り上げるつもりの、エコ活動も間接的な半自然保護活動といえる。
今更、原始時代の生活をするという話ではない。それは、限りなく不可能に近く非現実的であるが、半自然保護活動を促進し、自然と「共存」する事は可能なはずであり、今の時代を生きる我々人類がすべき事だと、私は考えます。
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「自然破壊」とは何か?生態学の視点から考察して見る【第2章】
地球環境の変化に人類はどれほ程の影響を与えるのか
<a href="https://www.photo-ac.com/profile/773774">titidsn</a>さんによる<a href="https://www.photo-ac.com/">写真AC</a>からの写真
ここでは、ヒトとヒト以外の動物との比較をしてみます。
この表から言える大きな違いとして、ヒトは古来から「石器」などの道具を用いて自身の肉体より大きな力を発揮できるという点である。また、「火」を自らの手でおこした上で、それを恐れないというのもの他の動物との大きな違いであろう。そして、「原生自然」→「半自然環境」を形成した一番大きな要因として「農業」が挙げられる。
農業による自然への影響
一言に農業といってもその種類にはいくつかあり、そのシステムにおいても「米」や「野菜」などの農作物を育てるものや畜産のように「豚」や「牛」を飼育するもの、道具を作るための「竹」や「木材」を獲るものなど様々な形があります。
問題は、これらの資源が本来あるべきの場所になく「集約化(intensification)」によって人為的に地球規模で環境を変える(破壊)してしまっている事である。